税金

インボイス制度と消費税請求 デメリットと対応方法

2021年5月2日

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インボイス制度では免税事業者からの仕入れは以下のように変更になるので注意が必要です。

注意ポイント

令和5年10月1日~ 3年間 適格請求書発行事業者以外からの課税仕入れ  80%控除が可能

令和8年10月1日~ 3年間 適格請求書発行事業者以外からの課税仕入れ  50%控除が可能

令和11年10月1日~ 3年間 適格請求書発行事業者以外からの課税仕入れ  控除が不可能

免税事業者からの仕入れを行う場合、何もしないとそのまま仕入れ税額控除が取れなくなります。

今まで税込み110万円で課税仕入れが10万円取れていたものが、免税事業者から仕入れることにより8万円、5万円、0円と段階的に下がっていきます。

つまり免税事業者からの仕入れは課税事業者側で負担する必要があるということになります。

具体的な対応方法

まずは取引先が免税事業者かどうかを把握する必要があります。

取引先マスターに免税か課税事業者かどうかを登録する必要があります。

①そもそも免税事業者かどうかの確認文書を送り、免税事業者については適格請求書発行事業者の登録を求める

国税庁が適格請求書発行事業者を公表するので、そちらで確認する方法もあります

②消費税相当額については特段処理をせず、こちらで控除できない分を負担する

③取引をやめるもしくは交渉する。

公正取引委員会で以下のQ&Aがありますので買いたたきに該当しないよう注意が必要です。

ポイント

Q19 消費税転嫁対策特別措置法に関して,免税事業者である納入業者との取引において留意することはありますか。

A 免税事業者であっても特定供給事業者に該当するため,特定事業者は免税事業者である納入業者に対しても消費税転嫁対策特別措置法で禁止する消費税の転嫁拒否等の行為を行ってはなりません。
特定事業者は,本体価格に消費税を上乗せして対価を定める必要がありますが,免税事業者であることを理由として,消費税を上乗せせず対価を定めたり,仕入れ等の諸経費に係る消費税負担分のみを上乗せして対価を定めたりすることは,合理的な理由がない限り,「買いたたき」(消費税転嫁対策特別措置法第3条第1号後段)に該当し,違反となります。
また,消費税を上乗せして対価を取り決めた後に,納入業者が免税事業者であることが判明し,それを理由として消費税相当分又はその一部の金額を減じて支払ったり,当該金額を徴収したりする場合,「減額」(消費税転嫁対策特別措置法第3条第1号前段)に該当し,違反となります。商品購入の要請等の他の消費税の転嫁拒否等の行為についても,同様です。

つまり合理的な理由なしに、値下げを要求すると「買いたたき」となり、公正取引委員会へ通報されるので注意が必要です。

吉野家が家主に対して消費税部分を面倒見ろと、買いたたきしていましたね。

吉野家グループによる消費税転嫁対策特別措置法の違反行為に関して公正取引委員会へ措置請求をしました (meti.go.jp)

税金計算上の注意点

以下の項目については、税抜経理の場合は注意が必要です。

◎交際費

◎減価償却費(少額の減価償却資産、一括償却資産、少額減価償却資産の特例)

◎在庫の計算

この場合免税事業者との取引を行った場合、控除できない課税仕入れに係る消費税相当額については取得価額に含めて判定をする必要があります。

控除できない課税仕入れに係る消費税相当額とは、令和5年10月1日以降だと20%(100%−80%)部分になります。

この20%部分については、その取引科目の金額に加算する必要があります。

加算しない場合は法人税の申告書上での調整が必要になります。

交際費のケース

交際費がすべて課税事業者からの場合は880万円(税込)まで控除可能

全て免税事業者からの場合 令和5年10月1日以降だと

①880万円(税込)×1/1.1=800万円

②消費税部分80万円×80%=64万円 残りの20%部分80万円−64万円=16万円

③①+②=816万円となり800万円を16万円超えますので、超えた部分を交際費の損金不算入として別表上加算する必要があります。

すべて免税事業者からの仕入れは本来あり得ませんが、免税事業者からの仕入れがある場合は注意が必要です。

小さい喫茶店であれば消費税分は損すると考える必要が出てきますね・・・・(金額はそれほど膨大にはなりませんが)

資産のケース

交際費と同様に判定を行う必要があります。

①少額の減価償却資産   10万円未満は一括で経費計上可能

税込 10万円  →  税込み107,842円までは一括で経費計上可能です。

X÷1.1×1.02=99,999円

X=99,999円×1.1÷1.02=107,842円となります。

②一括償却資産      20万円未満は3年で均等償却可能

X÷1.1×1.02=199,999円

X=199,999円×1.1÷1.02=215,685円となります。

③少額減価償却資産の特例 30万円未満は一括で経費計上可能

X÷1.1×1.02=299,999円

X=299,999円×1.1÷1.02=323,528円となります。

棚卸資産のケース

期末在庫分について免税事業者からの仕入れについては、消費税相当分の調整が必要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

インボイス制度が始まるまであと2年と5か月、ちゃんと準備しておく必要がありますね。

実際に運用してみると思わぬ点でミスが生じて、追徴課税なんてこともあり得ます。

免税事業者からの仕入れについては、システムの改修が必要になります。

独自のシステムを利用している場合は、令和11年を見越したうえでのシステム会社とやり取りを行う必要があります。

令和3年10月1日より、「適格請求書発行事業者」の登録が開始になります。常に課税売上が1,000万円超であれば、必ず提出したほうが良いです。

免税事業者については、上記事項を確認し、課税事業者になるほうが良いかを、判断していただく必要があります。

どのように進めていくかわからない点については、顧問の税理士等に相談していただければと思います。

不明点等ありましたらご連絡いただければご回答いたします。

 

令和3年改正消費税経理通達関係Q&A(令和3年2月)|国税庁 (nta.go.jp)

を参考にしていただければと思います。

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