ただ資金繰りの都合で支払いは決算後になりそうだな・・・・
先生!何かいい方法ありませんか?
いくつか要件がありますので、ご説明させていただきますね
今回は従業員の賞与について解説したいと思います。
決算賞与の注意点
・従業員賞与の原則的な取扱い
・決算賞与の取り扱い
従業員賞与の原則的な取扱い
原則は実際に賞与の支払いが行われた日をもって計上します。
これは債務確定基準によるものとします。
債務が確定した日の属する事業年度で損金処理を行うことが可能です。
決算賞与の取り扱い
(法人税法施行令72条の3)
支給予定日が到来している賞与
労働協約又は就業規則により定められる支給予定日が到来している賞与(使用人にその支給額の通知がされているもので、かつ、当該支給予定日又は当該通知をした日の属する事業年度においてその支給額につき損金経理をしているものに限る。) 当該支給予定日又は当該通知をした日のいずれか遅い日の属する事業年度
決算賞与
イ その支給額を各人に、かつ、同時期に支給を受けているすべての従業員に対して通知をしていること
ロ イの通知をした金額を通知したすべての使用人に対しその通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1か月以内に支払っていること。
ハ その支給額につきイの通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること。
注意ポイント
金沢国税局審理官(平成27年2月26日)
事前照会の回答文に未払賞与の趣旨の記載があります。
未払賞与については、その内容から実際に支払が行われたものと同視し得るような状態にあるものに限って、例外的に損金算入を認めることとしているものです。
このことからすれば、同条第2号イの支給額の通知は、法人において個々の使用人ごとの具体的な賞与の支給額を最終的、確定的に決定した上で同時期に支給を受けるすべての使用人に対してこれを通知していることを意味するものと解されます。(一部加筆)
メールや書面その他の方法により通知をしていることを証する書類を保存しておく必要があります。
個人的にメールにしてしまうと、メールを確認する際に書面通知以外のメールが目に入る可能性があるので、いらない説明が増える可能性があるので、書面が良いですね。
以下の内容記載した書類を準備しておきましょう。
ポイント
①通知日:実際に書面により通知をした日
②支給額:実際に支払いを行う具体的な数字
③確認のサイン:従業員全員からの自筆のサイン
④記入日付:従業員が通知書を確認してサインした日付
賞与が税務調査で否認されると、所得拡大促進税制の適用を受けている場合注意です。
否認分を除いて再計算が行われますので適用を受けれなくなる可能性がありますので、必ず要件通り行うことが必要です。
9-2-43
法人が支給日に在職する使用人のみに賞与を支給することとしている場合のその支給額の通知は、令第72条の3第2号イの支給額の通知には該当しないことに留意する。
大企業は退職後も計算期間に勤務していれば、計算期間に応じた賞与が振り込まれるケースは多々あるかと思います。
中小企業であれば、給与規定を確認する必要があります。
ほとんどの場合、賞与支給時に在籍していなければ賞与を支給されないと思います。
給与規定について、決算賞与の規定を設け、「決算賞与については、通知日をもって支給を確定するものとし、在職の有無にかかわらず通知をした金額を支給する」などの記載が必要ですね。
やめることが分かっている従業員がいた場合はどうしたらよいでしょうか?
①通知を出す(0円)
②通知をそもそも出さない
個人的に①でよいでしょう。
9-2-44
法人が、その使用人に対する賞与の支給について、いわゆるパートタイマー又は臨時雇い等の身分で雇用している者(雇用関係が継続的なものであって、他の使用人と同様に賞与の支給の対象としている者を除く。)とその他の使用人を区分している場合には、その区分ごとに、令第72条の3第2号イの支給額の通知を行ったかどうかを判定することができるものとする。
会計的な取扱い
必ず賞与引当金を毎月計上しましょう。
税金計算上は賞与引当金は経費になりませんが、期間損益を適正に確認するためには、賞与引当金を計上する必要があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
従業員の決算賞与についての注意点がいくつかありましたので、ご確認のうえ対応していただければと思います。
ありがとうございました。