居住用財産の仕入税額控除について改正が入りました。
「社宅にかかる仕入税額控除については今まで通り仕入税額控除できないの?」
「居住用建物の消費税が仕入税額控除できる抜け道ってないよね?」
と、お悩みのあなた
仕入税額控除を取る方法があります。
ご紹介したいと思います。
目次
社宅にかかる仕入税額控除
居住不動産の仕入税額控除の改正
事業者が、国内において行う居住用賃貸建物(住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物※1以外の建物であって高額特定資産(税抜1,000万円以上の建物)又は調整対象自己建設高額資産に該当するもの)に係る課税仕入れ等の税額については、仕入税額控除の対象としないこととされました。
※1 住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物とは、建物の構造や設備等の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが客観的に明らかなものをいい、例えば、その全てが店舗である建物など建物の設備等の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物が該当します。
令和2年 10 月1日以後に行われる居住用賃貸建物の課税仕入れ等の税額について適用されます。
住宅の貸付にかかる非課税範囲の見直し
住宅の貸付けについては、その貸付けに係る契約において「人の居住の用」に供することが明らかな場合に、消費税が非課税とされていますが、その契約において貸付けに係る用途が明らかにされていない場合であっても、その貸付け等の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかな場合※については、消費税を非課税とすることとされました。
※ 貸付け等の状況からみて人の居住の用に供することが明らかな場合とは、例えば、住宅を賃貸する場合において、住宅の賃借人が個人であって、当該住宅が人の居住の用に供されていないことを賃貸人が把握していない場合が該当します。
6-13-10 法別表第一第13 号《住宅の貸付け》に規定する「当該契約において当該貸付けに係る用途が明らかにされていない場合」 には、 例えば、住宅の貸付けに係る契約において、住宅を居住用又は事業用どちらでも使用することができることとされている場合が含まれるのであるから留意する。(令2課消2-9により追加)
6-13-11 法別表第一第13号《住宅の貸付け》に規定する「当該契約において当該貸付けに係る用途が明らかにされていない場合に当該貸付け等の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかな場合」とは、住宅の貸付けに係る契約において当該貸付けに係る用途が明らかにされていない場合に当該貸付けに係る賃借人や住宅の状況その他の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかな場合をいうのであるから、例えば、住宅を賃貸する場合において、次に掲げるような場合が該当する。)(令2課消2-9により追加)
(1) 住宅の賃借人が個人であって、当該住宅が人の居住の用に供されていないことを賃貸人が把握していない場合
(2) 住宅の賃借人が当該住宅を第三者に転貸している場合であって、当該賃借人と入居者である転借人との間の契約において人の居住の用に供することが明らかにされている場合
(3) 住宅の賃借人が当該住宅を第三者に転貸している場合であって、当該賃借人と入居者である転借人との間の契約において貸付けに係る用途が明らかにされていないが、当該転借人が個人であって、当該住宅が人の居住の用に供されていないことを賃貸人が把握していない場合
社宅を取得する場合
使用料を徴収する場合
居住用のように供するのが客観的に明らかな居住用賃貸建物に該当しますので、国内において行う社宅の取得に係る課税仕入れ等の税額については、仕入税額控除の対象となりません。
使用料を徴収しない場合
無償で貸し付けるため、その取得の時点で客観的に明らかな社宅や従業員寮は居住用賃貸建物に該当しないことから、その取得費は仕入税額控除の対象となります。
この場合の個別対応方式による課税仕入れ等の区分は、原則として課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに該当します。
つまり、
ポイント
家賃を徴収する場合=仕入税額控除の対象とならない
家賃を徴収しない場合=仕入税額控除の対象となる(共通対応)
共通対応については 共通対応にかかる消費税額 × 課税売上割合=仕入税額控除となります。
家賃の経済的利益
使用料を徴収しない場合は、給与課税となります。
従業員の場合
使用人に無償で貸与する場合には、以下の賃貸料相当額が給与として課税されます。
賃貸料相当額とは、次の(1)~(3)の合計額をいいます。
(1) (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
(2) 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
(3) (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%
役員の場合
役員に無償で貸与する場合には、賃貸料相当額が、給与として課税されます。
小規模な社宅の場合
次の(1)から(3)までの合計額が賃貸料相当額になります。
(1) (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
(2) 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/(3.3平方メートル))
(3) (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%
社宅家賃の詳しい内容についてはこちらの記事をご確認ください
社宅家賃の計算根拠である固定資産税の課税標準額の取得方法はこちら
定期同額給与
使用料を徴収しない場合については経済的利益の享受として給与課税がされます。
役員の場合は、年の中途であっても定期同額給与に該当します。
継続的に供される経済的な利益で毎月おおむね一定である必要があります。
家賃の場合は毎月概ね一定であるため、定期同額給与に該当します。
消費税の取り扱い
不課税です。
通常消費税は受け取った対価の額について課税、非課税、不課税となります。
何も受け取っていない=消費をしていないということになりますので、課税関係は生じません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
これから社宅を買おうとしている場合は、給与課税が得なのか、仕入れ税額控除を受けたほうが有利なのかを判断する必要が出てくるかと思います。
注意点を確認しながら実行していただければと思います。
不明点がありましたらいつでもお問い合わせいただければと思います。