今回は社宅による節税についてご説明させていただきます。
この記事で以下の内容が分かります。
・社宅の計算方法
・社宅の仕訳等の処理方法
目次
借上社宅について
会社名義で借上げる場合、受取り家賃との差額を経費に算入することができます。
規定を作成して、適切に運用する必要があります。
規定に基づいた計算方法により、個人が負担すべき金額を計算して天引きをしないと社宅の支払金額が社宅利用者の給与所得とみなされ、源泉所得税の徴収漏れになります。また社会保険の報酬に含める必要が出てくるので社会保険料の計算誤りという問題が発生しますのでご注意ください。
ポイント
①法人名義で賃貸借契約を行う
個人契約の場合は法人契約へ切り替えが必要です。
管理会社やオーナーへ確認しましょう。
②社宅の賃料を計算して、賃料相当額を支払う
じゃあ具体的に社宅の利用者はいくら支払えば給与課税されないのでしょうか?
賃料の計算方法
社宅の利用者が役員か従業員かで計算方法が変わってきます。
賃料の計算方法は簡易的な方法と特別な計算方法があります。
簡易的な方法は、「役員に貸与する場合の小規模な住宅である場合を除き」会社家主に支払う家賃の50%の金額を社宅使用者が支払うことで、給与課税されません。
10万円の家賃を支払う場合であれば50%の5万円以上の支払いを行えばよいということになります。
ポイント
特別な計算方法は2種類に分かれます。
・役員に対する社宅について
・従業員に対する社宅について
役員に対する社宅について
役員に貸与する社宅が小規模な住宅である場合
参考
小規模な住宅とは、
法定耐用年数が30年以下の建物の場合には床面積が132平方メートル以下である住宅、
法定耐用年数が30年を超える建物の場合には床面積が99平方メートル以下
※(区分所有の建物は共用部分の床面積をあん分し、専用部分の床面積に加えたところで判定します。)である住宅をいいます。
次の(1)から(3)までの合計額が賃貸料相当額になります。
- (1) (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
- (2) 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/(3.3平方メートル))
- (3) (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%
この算式により計算された金額が、年税額になります。
簡易的な計算方法の、家賃の50%の規定は小規模な住宅にはありませんので簡易的な計算方法により徴収額が過大にならないようにする必要がありますね。
注意ポイント
①固定資産税の課税標準額を把握する必要がある。
②建物部分と土地の持ち分を登記簿謄本で確認する
③②が全部オーナーが一括で所有している場合面積案分等の合理的な方法により①を計算する必要がある。
賃貸物件の固定資産税課税標準額の取得方法はコチラの記事を確認していただければと思います。
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役員に貸与する社宅が小規模な住宅でない場合
役員に貸与する社宅が小規模住宅に該当しない場合には、その社宅が自社所有の社宅か、他から借り受けた住宅等を役員へ貸与しているのかで、賃貸料相当額の算出方法が異なります。
他から借り受けた住宅等を貸与する場合
「会社が家主に支払う家賃の50%の金額」と、「小規模な住宅で算出した賃貸料相当額」とのいずれか多い金額が賃貸料相当額になります。
※ 自社所有の社宅の場合は以下の計算方法になります。
次のイとロの合計額の12分の1が賃貸料相当額になります。
イ (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×12%
ただし、法定耐用年数が30年を超える建物の場合には12%ではなく、10%を乗じます。
ロ (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×6%
豪華社宅に該当する場合
豪華社宅とは、床面積が240平方メートルを超えるもののうち、取得価額、支払賃貸料の額、内外装の状況等各種の要素を総合勘案して判定します。
豪華社宅に該当した場合の、賃料は支払地代額と同額の金額を受け取る必要があります。
20万円の家賃であれば同額の20万円を受け取ります。
従業員のための社宅について
賃貸は、次の(1)~(3)の合計額をいいます。
(1) (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
(2) 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
(3) (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%
使用人に無償で貸与する場合には、この賃貸料相当額が給与として課税されます。
使用人から賃貸料相当額より低い家賃を受け取っている場合には、受け取っている家賃と賃貸料相当額との差額が、給与として課税されます。
50%以上賃料を受け取っている場合は給与課税されません。
仕訳と消費税の取り扱い
消費税は社宅ですので、住宅の貸し付けになり非課税となります。
仕訳
家賃支払い時
地代家賃(非課税仕入) / 現預金
給与から天引時
給与 / 現預金
/ 源泉所得税
/ 社会保険料
/ 雑収入(非課税売上) 又は 地代家賃(非課税売上)
家賃受取り時は雑収入とするケースがほとんどです。
実はこの雑収入処理は問題があります。
「支払家賃は一般管理費」として処理し、「雑収入は営業外収益」としている決算書をよく見ますが、銀行対策が行われていない決算書になります。
一般管理費と営業外収益なので区分が違います。区分が違うと営業利益が小さくなってしまい、本業で稼いでいる利益が決算書上過少になり、銀行評価時にマイナスに働きます。
いずれかの方法により処理しましょう。
①支払家賃のマイナスとして処理
②営業外費用として処理
①の処理を行う場合の消費税は非課税仕入のマイナスではなく、非課税売上なので注意が必要です。
私個人的には、費用のマイナスとしてしまうと、パッと見たときに消費税の計算書と決算書が一致しないので、書面添付制度により内容を明記する又は営業外費用処理で記載するようにしています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
社宅の計算方法
社宅の注意点
についてご説明させていただきました。
これから社宅を考えている方は注意点を確認してもらい、
既に社宅がある場合は
・徴収額が過大になっていないか?
・対銀行対策ができているか?
を確認していただければと思います。
社宅についてご相談等があればお気軽にご連絡いただければと思います。